食べ物は、大きく炭水化物・たんぱく質・脂質の3つに分類され、各栄養素はそれぞれ、人間の正常な身体活動に欠かせないエネルギー源となって働いてくれます。中でも、脂質(=油)は1gの摂取で9kcalのエネルギーに変換されます。これは他の2つと比べて最も高い数値です。
油は摂らなくても摂り過ぎても問題
脂質は必須脂肪酸を含有しており、体内で細胞膜の成分やホルモンの材料などに変換されます。そのため、脂質不足の状態が続くと、発育不良や皮膚炎などを引き起こす原因になりかねません。一方で、脂質を摂りすぎてもカロリーオーバーとなり、さまざまな生活習慣病にかかりやすいのも事実です。
摂取の調節が難しい脂質ですが、具体的には、1日の摂取エネルギーのうちの2~3割を脂質として摂るのが理想的なバランスとされています。成人女性は1日1400~2000キロカロリーほど必要としますから、脂質は50~55g(小さじ1杯4g)を目安にするといいでしょう。
「悪い油」と「いい油」とは
実は、脂質には積極的に摂りたい「いい油」と、できるだけ控えたい「悪い油」があります。
例えばバターやマーガリン、それにお肉の油は「悪い油」に分類されます。これらは常温でも固形のため、体内でも固まりやすく、血液をドロドロにしてしまうと言われています。豚肉や牛肉を食べたいときは、なるべく脂身の少ない赤身を心がけましょう。
また、ショートニングや古くなった油も「悪い油」で、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らしてしまいます。1回だけではもったいないから…と繰り返し使用した油で作った揚げ物、ショートニングたっぷりの甘いお菓子には注意が必要です。
では、逆に「いい油」とはどのようなものがあるでしょうか。DHAやEPAなどで知られる魚の油は「いい油」です。魚に含まれる油は善玉コレステロールを増やし、中性脂肪を下げてくれると言われています。
また、常温で液体の油も「いい油」です。例えば、えごま油や亜麻仁油で、これらは中性脂肪を下げて、血液をサラサラにしてくれる効果が認められています。摂り方のポイントとしては、2つとも酸化しやすい油のため、サラダやカルパッチョなどにかけて、非加熱で食べるのがおすすめです。
オリーブオイルやなたね油も善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを下げる「いい油」です。こちらはどちらも加熱調理にも適しているため、炒め油として普段使いにしたい油です。
バランスよく油を摂ろう
油を上手に摂り入れるポイントとしては、単に「いい油」を今の食生活にプラスするというよりも、まずは今まで摂っていた「悪い油」を減らすことを意識してください。そして、慣れてきたら、少しずつ「いい油」を増やすようにするといいでしょう。
脂質は大切な栄養源ですが、摂り過ぎると生活習慣病を引き起こす原因にもなりますので、バランスよく摂ることが肝心です。調理油などの「見える油」にばかりでなく、お肉の脂身などの「見えない油」にこそ気を配り、ヘルシーな食生活を心掛けましょう。