1日に必要とする栄養素が年代によって異なるように、三大栄養素の一つである脂質(油)も、年代によって適した摂り方があります。育ち盛りの子供、外食が増える大人、食事量が減ってくるシニア…それぞれ、どのような油をどのような方法で摂ればいいのでしょうか。
子供の場合
育ち盛りの子供にとって、良い油を摂ることは必要不可欠です。昔からよく「たくさん魚を食べる子は頭が良くなる」と言われるように、魚、特に青魚の油に豊富に含まれているオメガ3系脂肪酸・DHAが脳の質を上げるとされています。他の食品だと鮭、マグロ、くるみなど、植物性油ではエゴマ油や亜麻仁油がオメガ3系脂肪酸に分類されます。
また、最近の研究では、油に含まれる脂肪酸が苦みを抑える、ということが報告されています。野菜独特の苦みを嫌がって野菜を食べない子供は多いですが、油と合わせて調理してあげることで、食べてくれるようになるかもしれません。
さらに、植物油は必須脂肪酸だけでなく、ビタミンEも含まれており、βカロテンなどの野菜の栄養素の吸収を良くする働きがありますので、ぜひ野菜とセットで摂る工夫をしてみましょう。
大人の場合
油は「見える油」と「見えない油」の2つがあります。まず「見える油」は植物オイルやバターといった調理で使う油のことで、比較的減らしやすいです。一方、「見えない油」とはお菓子や肉類などの食品に含まれている油で、食事の際に意識しづらく、減らすこともなかなか難しい油です。
飲み会や接待など、何かと外食が増える大人世代は、自炊と違い、調理工程が分からない外食のせいで、知らず知らずのうちに「見えない油」が体内に蓄積してしまっている可能性があります。実際、日本人の脂質摂取量は、約8割を「見えない油」から、2割を「見える油」から摂取していることが分かっており、これが大人世代の中性脂肪増加につながっているのです。
動物性食品に多く含まれる「見えない油」をできるだけ避けると同時に、油の質にも気を配りましょう。例えば、魚に多く含まれているオメガ3系脂肪酸・EPAには中性脂肪を下げるパワーがあることが分かっていますので、外食時は肉を避け、魚を意識的に摂るようにするといいでしょう。
シニアの場合
シニア世代になると、咀嚼力や嚥下力などの機能が低下し始めます。そのため、あまり食べられなくなって、栄養不足に陥ることもあります。現に、日本人の65歳以上で約6人に1人、85歳以上では約4人に1人が、低栄養気味だと言われています。
シニア世代に関しては、まず全体の食べる量を増やすことが重要ですが、効率的に必要な栄養素を補えるよう、食べ方を工夫をすることも肝心です。例えば、野菜に含まれるビタミンDやビタミンKは、カルシウムの吸収を高めて、丈夫な骨を作ることで知られていますが、実は油と一緒に摂ることで、さらに吸収力を上げることができるとの報告がされています。ぜひサラダや野菜炒めなどで、植物油と野菜を一緒に摂って、必要な栄養素を効率よく体に取り入れましょう。