トランス脂肪酸を減らした食生活を

トランス脂肪酸をご存知でしょうか?美容や健康に敏感な方なら聞いたことがあるかと思いますが、トランス脂肪酸とは不飽和脂肪酸の一種で、植物油などからマーガリンやショートニングなどを作る工程でできる脂肪酸のことです。

また、製造工程で生じるだけでなく、牛など反すう動物の胃の中でも作られるため、牛肉・羊肉をはじめ、これに由来する乳製品やそれを使ったお菓子類にも含まれています。

 

トランス脂肪酸がもたらすリスク

実は、トランス脂肪酸が血中の悪玉コレステロールを増やすばかりか、善玉コレステロールを減らしてしまうことが分かっており、日本人に比べてより多くのトランス脂肪酸を摂取している諸外国の研究では、心筋梗塞や動脈硬化などによる虚血性心疾患など、健康問題との深いつながりが指摘されています。さらに、WHOが「トランス脂肪酸には健康上のメリットがない」と発表したことによって、もともとトランス脂肪酸が過多気味だったアメリカを中心に、すでに使用規制を設けている国もあるのです。

 

トランス脂肪酸の摂取の目安量は?

WHOは、心筋梗塞などの疾患リスクがなく、健康を維持できる摂取の目安として、トランス脂肪酸を総エネルギー摂取量の1%未満に留めるよう提言しています。日本人の平均的なトランス脂肪酸摂取量は総エネルギー摂取量の0.3%ほどと推量されており、数字だけ見ると基準値以下ではありますが、今よりもできるだけ減らすよう留意すべき、というのが厚生労働省の見解です。

 

和食中心の食生活を心がけよう

このように、できるだけ摂取を控えたいトランス脂肪酸ですが、脂質自体は人体に必要不可欠な栄養素でもあるため、脂質のバランスを含めて全体の栄養バランスがとれた食生活を心がける必要があります。

それにはやはり、和食が理想的です。本来、日本人の食生活はトランス脂肪酸が少なく、健康的でした。一汁三菜の典型的な和食にはトランス脂肪酸はほとんど含まれていないため、そう考えられていたのですが、近年は米よりもパンを好んで食べる人が増えています。

パンが主食になると、バターやチーズなどの乳製品も摂るでしょうし、魚よりも肉がメインになるでしょう。そして、サラダにはマヨネーズやドレッシングをかけたくなります。前述の通り、トランス脂肪酸はパン、バターなどの乳製品、牛肉、マヨネーズ、ドレッシングなどに多く含まれていますから、このような食生活を続けていると、トランス脂肪酸の摂取も増え、健康上よくありません。この機会に、和食中心の食生活に変えてみましょう。

また、食品だけでなく、調理油にもトランス脂肪酸が含まれているものがありますから注意してください。トランス脂肪酸を含まない良質な油としては、オリーブオイル、亜麻仁油、MCTオイルがあります。食事とともに、調理油もトランス脂肪酸を含まない健康オイルに変えてみてください。トランス脂肪酸の摂取をできるだけ減らして、心血管疾患などのリスクがない、健康的で明るい暮らしを心がけましょう。